株式会社SUBARU
まだPtengineを使った分析、改善が根付いたとは言えませんが、マインドセットが変わったと感じています。これまでのような経験と勘に頼った制作から、データを見て改善をしていく方法に変わらないといけないと考えるようになっています。
安室敦史氏
Ptengineは、企業の業種や規模に問わず、誰でも簡単にユーザーの理解に基づいて継続的にオンラインビジネスの収益を向上させられることを支援するサービスです。
無料登録するスバルでの活用方法が評価され、中国最大級のマーケティングイベント「MEXPO」で銀賞を受賞
株式会社SUBARU
フォレスター、レガシィ、レヴォーグなどの人気車種に加え、ブランドそのものにも根強いファンを持つ株式会社SUBARU。アイサイトなど運転支援システムで世界トップレベルの安全性能を実現。インプレッサSPORT/G4は、2016-2017年の日本カー・オブ・ザ・イヤーに。
株式会社SUBARU国内営業本部 マーケティング推進部 宣伝課 主事 安室敦史氏(写真右)、同社のWebマーケティングを支援する株式会社電通 片山智弘氏(写真左)に、Ptengineの導入の背景、活用状況、今後の期待などについてお話をうかがいました。
安室氏:
背景に、自動車購入におけるオウンドメディアの重要性が増したことにあります。2015年マクロミル社の調査によれば、自動車購入でオウンドメディアを参考にする人は6割とのこと。オウンドメディアのUXを向上するのは自動車メーカーとして必然です。
それを痛感したのは、私自身の体験もあります。私がWebサイトを担当するようになったのは2014年ですが、ちょうどその時クルマの買い替えを検討していました。そこで、顧客視点で自社サイトを見てみたのですが、車種によって情報が掲載されている場所が異なるなど、非常に見づらかったんです。正直、びっくりしました。
まずは、Webサイトをなんとかしないといけないと思い、サイトを改善していきました。このときは、まだPtengineを導入していなかったので、別のWeb解析ツールを使っていました。自分でCTRマップ(クリック率を可視化したもの)を作成して、どこが見られているのかを発見し、見られているところから改善していきました。最終的には、動線も変えて、サイト全般を作り直したのです。
結果、成果がでました。トライベック・ブランド戦略研究所社が発表している「企業Webユーザビリティランキング」で、改善以前は自動車業界で7位、総合150社中84位だったのが、改善後は自動車業界で1位、総合16位と大きくランクが上がったのです。
成果が出たのはうれしかったのですが、自分だけでやっていては、スケールしません。コーポレートサイトや採用サイトなど、いろいろな部門のサイト制作に関わっている人にも伝えないといけないと思い、当時使っていたWeb解析ツールの勉強会を開催しました。
ところが、これが大失敗でした。勉強会には、制作会社も含め100人以上が参加してくれました。その時、全員にワンタイムパスワードを発行したのですが、勉強会から数ヶ月後、パスワードの期限が切れたと訴えてきたのは、なんと一人。他の人は、もうアクセスしなくなっていたんですね。まいったなー、と思いました。
そこで、もっと視覚的にわかりやすいツールはないかと探し始めました。自分も、データからCTRマップを作るのが面倒だったこともありました。
オウンドメディア担当は私一人で、人事や販売促進のキャンペーンなどは別の部署で制作しています。私が横串で全体を見ていましたが、一人ではやりきれないので、ツールの提案だけでなく、グロースハックを進めていただけるような優秀な人が必要だったんです。そこで電通さんに相談することになりました。
片山氏:
それで、スバル様の広告などを担当させていただいていた弊社営業から私のところに話をもらいました。お話にもあったように、すでに安室さんは自分でしっかり分析から改善まで回されていましたが、他の部署の方も使えるようにということでしたので、ユーザビリティを最重視して検討しました。検討したツールは4つありましたが、最終的にわかりやすさ、使いやすさでPtengineに決め、2016年6月に導入しました。
安室氏:
狙い通りでした。2016年の秋頃にPtengineの勉強会を開催しました。この時も制作会社も含め約100人が集まりましたが、以前とは反応が違いました。グラフィカルに表示されるので、わかりやすいですし、おもしろがってくれました。勉強会の後も、見てくれる人が増えました。
といっても、まだPtengineを使った分析、改善が根付いたとは言えませんが、マインドセットが変わったと感じています。これまでのような経験と勘に頼った制作から、データを見て改善をしていく方法に変わらないといけないと考えるようになっています。今後は、担当者が変わっても続けていけるようにマニュアルを整備して、PDCAを回せるようにしたいですね。
片山氏:
スバル様の場合、複数の代理店、制作会社がWebサイト制作に携わっています。その中で、他の代理店さんが作ったキャンペーンページを私が分析させていただいて、改善をご提案するということもございます。会社が異なっても、Ptengineのアカウントを持ち、同じデータを一緒に見られるというところもPtengineのメリットだと感じています。
安室氏:
2016年11月に、中国最大規模のマーケティングイベント「MEXPO」で開催された「maward」で、スバルの「Ptengine」の活用方法が評価され、電通と共にPtmindが銀賞を受賞したのも、企業間を超えて分析、改善ができるところが評価されたと聞いています。
(参考:中国最大級のマーケティングイベント「MEXPO」のマーケティングツール部門にて弊社アクセス解析ツール「Ptengine」が銀賞を受賞!http://www.ptmind.co.jp/pr/2016-11-21)
片山氏:
ベーシックな方法ですが、クリックヒートマップで、誤りのクリック(通称:誤クリック)とたくさんクリックされている箇所を特定します。その箇所から仮説を立てて、改善案を提案します。
スクロールヒートマップでは、特にファーストビューでの離脱率と、一番下まで到達した率に注目しています。また、ユーザーが特に注視している部分は赤く表示されますので、どこが読まれているのか、逆に読まれていない青い部分はどこかを分析して、改善提案をします。
他にも、広告別などセグメントに分けて、差異や異常値はないか分析しています。広告からの流入が多いのに、離脱率が高ければ、広告の内容に問題があるとわかります。
片山氏:
1つはスクロールヒートマップの離脱率です。下部に行くほど離脱が増えるのが一般的ですが、スバル様の場合は離脱しないで下まで見る人の率が他と比べて高いですね。
PtengineのデータとCRMやDMPを組み合わせれば、Webサイトの情報をじっくり読むコアな層がどういう人なのか見えてきそうです。スバルファンはスバリストと呼ばれますが、「ニュー スバリスト」のような新しいユーザー像が見えたらいいですね。
もう1つは、写真の影響です。文章に比べて写真はサラッと見られるかと思いましたが、やはりクルマの写真はじっくり見られる傾向があるので、これからの改善案で考えていきたいと思っています。
バナーや画像の制作は、複数の制作会社さんが担当しているので、あるべきキービジュアルの統一や実装の標準化などがブランド横串でできれば、デジタルマーケティングとしてもう一段階上に行けそうです。
安室氏:
発見や気づきを個人に留めるのではなく、ナレッジを貯めて共有できるようなルールを作っていきたいですね。そうすれば、制作会社や担当者が変わっても継続的に改善できます。
社内では、マインドセットは変わってきているものの、まだ活用しきれていないので、もっと盛り上げていきたいですね。皆でやることが大事なので、成果発表会をやるなどの企画を考えていきたいですね。
片山氏:
担当者全員が安室さんレベルで使いこなせるようになるのは難しいので、まずはヒートマップで、誤クリックを発見する、見られていない箇所を見つけて改善するというようなシンプルなことから始めるとよさそうですね。
個人の理想としては、先程申し上げたようにPtengineと他のツールのデータを紐付けられればさらに役立ちそうです。2017年2月に、「マイスバル」というスバルオーナー様のためのアプリサービスも立ち上げましたし、そのデータも使って、積極的にページの下までスクロールしているユーザー、キャンペーンに参加しているユーザーを結びつけられれば、リターゲティング広告の精度も上がるのではないかと考えています。
安室氏:
それは期待できますね。購買データとつながればさらにいいですね。記事の下まで読んでいる人は、購入したのかどうか。それがわかれば、下まで読まれることを目指すべきかどうかも検討できますね。