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メールの442倍!圧倒的な効果を実感した「顧客の生の声」の集め方 【VIVAIA急成長の舞台裏 #2】

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大森 葵

2024年11月13日

この記事は約5分で読めます。

みなさんこんにちは、前回に引き続きVIVAIA創業者 Jeffへのインタビューの続きをご紹介します。

今回は、VIVAIA成長ドライバーである製品開発に対する想いから、お客様の声を製品に還元するための具体的な方法に至るまで、VIVAIAのコアにグッと迫ります。

「完璧な」一足はない、あるのは「より良い」一足だけ。

Q:全国の百貨店からポップアップストア出店のオファーが殺到していますね。また、Jeffさんの以前のインタビューで、日本の百貨店にも認められるVIVAIAの強みとして「製品力」を挙げられていたと思います。Jeffさんから見て、VIVAIAの商品力の根源は何だと思いますか?

常に進化し続けることです。ベストセラー商品さえも1.0、2.0、3.0と進化させ続けているブランドは稀だと思います。それがVIVAIAと他ブランドとの決定的な違いでもあります。

例えば、あるベストセラー商品が、今の売上の30%を占めているとします。でも次の年には別の商品が登場したり、トレンドも移り変わる。そうなると、この30%を確保できるかというリスクに直面することになります。

ベストセラーに手を加えることこそリスクだと考えるかもしれません。しかし、僕たちはむしろそう考えること自体を疑っています。というのも、完璧な一足など存在しないと思っているからです。

「完璧」に見えるものがあったとしても、それは「より良い」一足でしかなく、常に変化するお客様の需要に応えるために、まだできることがあると考え続けています。

とにかくより良いものを提供することです。もしかしたら将来バージョン20.0が誕生するベストセラー商品だってあるかもしれませんし、実際そうなっても驚きません。それがVIVAIAの製品の遺伝子だと思います。

答えはお客様にある

もし、2025年に顧客が好む製品は何かと問われれば、僕たちに明確な答えはありません。僕たちだけでなく、何らかの製品を作っている限りあらゆるブランドにとっての命題だと思います。

どのブランドも、製品を発売した後にその結果を知ることになります。これが難しいところです。自分のやり方が正しいか間違っているかは、企画して、作って、実際に市場に出すまでわからない。でも、そんな状況でもやらなければならない。

それを打ち破るにはどうすればよいか?いくつか方法が考えられます。ひとつは、勝率を高めるために多くの商品を作って数を稼ぐこと、もうひとつはリサーチや第三者的な意見に基づいて、主流になりそうなトレンドに賭けることです。

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VIVAIAも創業当初は、そんなに多くの製品を作ることができませんでしたし、リソースも限られていました。だから、お客様のニーズを満たすスタイルにいかに正確に賭けられるのかが生き残りの鍵でした。そのプロセスとして、先述した方法の他に道はないかと考えていました。

そんなある夜、オンラインでの販売が伸び悩み、頭を抱えていたときの話です。たまたまイーロン・マスクのある言葉を目にしました。

彼が言うには、お金は単なるメディアであり、資源交換の産物に過ぎないと。つまり、都市にいればお金はいろいろなものと交換できて便利な一方、もしひとり誰もいない島でお金を持っていても何の役にも立たないという内容です。

ここで僕は、お客様の情報やデータもある意味メディアのようなものだと思ったのです。お金が資源交換の手段であるように、お客様のデータもまた、ビジネスや製品に活かせる手段だと思うのです。

また、お金が何らかの価値と交換されるためには、適切な環境が必要であるように、データも適切なコンテキストや分析がなければ、宝の持ち腐れであり、単なる情報の集まりに過ぎないとも思っています。

メールの442倍!衝撃的だったPtengineのアンケート機能の威力

ではどこに情報があるのか。答えはシンプルで、お客様ご自身です。

これに気がついた僕たちは、情報収集のために100,000人のお客様にメールでアンケートを送ってみました。そしてその結果得られたのは… 何件だと思いますか?

忘れもしない、わずか142件です。

さらにそれをもとにスライドを40枚も作り、次期トレンドや製品の方針を決定しようとしていました。

今思えば、たった142件の回答に基づいて100,000人の好みを予測するなんて非常に難しい上に非効率的です。この経験をステップに、どうすれば顧客を知るための情報を得られるかと考え、Ptengineと出会ったのです。

Ptengineのアンケート機能を使えば、購入直後のお客様に質問することができました。そもそも購入完了直後のお客様に対して、アンケートを実施するということ自体、僕にはなかったアイディアでした。

しかし、今思えば、商品を実際に買ってくださった、いわば最も熱量の高い状態のお客様に聞くことに意味があると思っています。そして何より驚くべきは、その回答率が60%を超えていたということです。

ここでちょっと計算してみましょう。100,000人から142人の回答を得た時の回答率は、0.00142%です。

しかし、回答率が60%で、仮に100,000人にアンケートを展開できたとすると、集まる回答数は60,000件。これは、計算上では「メールを送って獲得した142件よりも、なんと422倍もの効果を得られた」と言えてしまうのです。

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直接聞きに行くから、命中率も高い

この衝撃をきっかけに、お客様が何を求めているのか、何を考えているのか、普段どんなスタイルのファッションをしているのか、靴にどんな機能が必要なのか、逆にどんな機能が不要と感じるのか、そういったことをどんどん質問し、蓄積していきました。

あれが必要か、これが必要かと考える前に、僕たちはお客様に直接尋ねるんです。よくあるのは、顧客のニーズを予測し、考えてはいるが、お客様に尋ねてはいないケースです。

100,000人を予測するために、尋ねたのは10人。これは論理的ではありませんし、網羅性に欠けます。もちろん、直接お客様に会って話すことで得られる深い情報もありますが、購入後のお客様からの回答が60%あれば、決断にも十分参考になるデータが得られると思います。

VIVAIAの製品開発は、私たち創業者の頭の中やデザイナーの頭の中、マーケターの頭の中だけで決まるものではありません。最終的には、お客様によって決まるのです。

アンケートの回答を製品開発にも活かすことで、そのプロセスは完全に変わりましたし、製品を従来とは段違いに進化させられていると思います。

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Magrot Walkerが誕生する時もそうでした。「毎日歩く距離は?」「毎日どれくらいの時間歩きますか?」「現在のMargot2.0があらゆるシーンに適していると思いますか?」などとお客様に聞いたのです。

その結果、現在のMargotは、長距離を歩いたり毎日通勤したりする方にとっては完璧なアイテムではないことがわかりました。

そこで次のアンケートでは、「もしMargotのアッパー(足の甲の部分)のまま、アウトソールを厚くしたフラットシューズがあったら買いますか?」と聞いてみました。すると驚くべきことに、80%のお客様が「買う」と答えたのです。

僕たちは自信を持ってこれを実現しようと決断することができました。こうして生まれたのが大ヒット商品Margot Walkerです。

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もしあなたがデザイナーだとして「Jeff、どれが好き?」と僕にいくつかデザインを見せてきたとします。僕は自分の好みに基づいて、どちらかを選ぶでしょう。

でもこれは必ずしも全員がそのデザインを好きというわけではありませんし、お客様が好むということでも、市場が好むということでもありません。

だから、僕が自信満々で選んだデザインがアンケートでは最も不人気だったこともあります。笑

繰り返すようですが、とにかくお客様の声に耳を傾ける必要があるんです。そう考えるとPtengineのアンケート機能は、これを実現するために最適なツールだと思います。

そしれこれがPtengineがVIVAIAの製品開発に深く関わっている理由です。商品開発のプロセスとPtengineを通じたアンケート調査は、今や完全に統合されています。

次回はVIVAIAの日本市場進出の背景

いかがでしたか?VIVAIAがこれほどまでにアンケート機能を効果的に活用し、徹底的にお客様の声を聞くVIVAIA

次回はいよいよ最終回。VIVAIAが日本市場においてオンラインのみならず、オフラインへの展開にも踏み出した経緯を取り上げます。Ptmindメンバーも知らなかった両社の関係性についても…!

どうぞお楽しみに!

いかがでしたでしょうか?ぜひシェアをお願いいたします。