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Dropbox, Vimeo, Buffer等 世界的SaaS企業のリーダーたちが語るPLGの基本と新常識 【SaaStr 2024 参加レポート#1】

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大森 葵

2024年11月15日

この記事は約4分で読めます。

毎年ベイエリアで開催されるB2B SaaS業界における世界最大のカンファレンスSaaStr。今年Ptmindは複数メンバーが渡米し、現地で参加してきました!

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今回から複数回にわたって2日半のイベントを通じて見聞きしたさまざまセッションをまとめ、ご紹介するシリーズを開始します。

世界的SaaS企業から見たPLG

第1回は、イベント全体を通じてキーワードのひとつであったPLG (Product Led Growth) についてです。

PLGは、全てのSaaS企業が目指すべき!とはまでは言われないまでも、多くの企業が「SLGから脱却し、PLG型を目指す傾向」は、SaaStrでも複数セッションのタイトルから見て取れました。

一方の日本では、PLGはSaaS事業者には概念こそ浸透しているのかもしれませんが、検索結果のボリュームを見るに、まだ啓蒙フェーズにある印象を受けます。

今回は、PLGについて、セッションに登壇していたSaaSとPLGの聖地ベイエリアのSaaS企業のエグゼクティブたちの見解を含めながら、その概要をご紹介します。

今回のベースとなるSaaStrのセッションおよびスピーカーは下記の通りです。

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そもそもPLGとは?

PLGとは、日本語に直訳すると、「プロダクト主導の事業成長」です。

しばしばセットとなるSLG (Sales Led Growth, 営業主導の事業成長)に比べて、ユーザーが自ら価値を享受することで顧客を獲得し、さらに主にバイラルによって顧客を呼んでくる構図で成長するモデルのことです。

ここでは、セールスやマーケティング、カスタマーサクセスの活動は、ユーザーがプロダクトの価値を受け取るための伴走的な機能となります。

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PLGとSLGの構図比較 (ProductLedに基づいてPtmind作成)

PLGのメリット

Adam氏によると、PLGの有用性はファイナンス面にあります。

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PLG/セルフサーブ型モデルのメリット(Adam氏の発表を元にPtmind作成)

具体的には、アウトバウンド的なセールスよりは、プロダクトそのものがいわば「セールスツール」でもあるため、人員リソースの観点で、顧客獲得のためのコストが低く抑えられることが最大のメリットです。

また、売上のトラッキングという観点でも、サブスクリプションや従量課金モデルにより、定常的な収益を得やすい、さらにその予測を立てやすいというファイナンスオペレーション上のメリットもあります。

PLGはビジネスモデルである

さらにAdam氏は、「PLGは事業の成長のあり方のみにとどまらず、ビジネスモデルだ」と言います。

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つまり、「単に無料登録から始められて、サブスク型でプロダクトが利用できるようにプライシングやパッケージングを変更すればよい」というシンプルな話ではないのです。

例えば、PLGとSLGとでは人の動き方や、リソースを重点的に割くべきポイントや段階が根本的に異なります。

それゆえ、組織全体でPLGを行うに適した方向に転換する必要があり、「ビジネスモデル」と言うに足るほど、組織への根本的で大きなインパクトがあるという意味で、この表現を選んでいるのだと思いました。

PLGを行うには、組織をあげたコミットと、部門間を横断したコラボレーションが不可欠なのです。

PLG実現にはクロスチームの連携が不可欠

部門間をまたぐ連携に関して、Adam氏によると特に、マーケティング、セールス、そしてプロダクトチームの絶え間ない連携とシンクアップが最大のチャレンジであり、必要事項とのことです。

これについては、Maria氏も同様の言及をしており、セールス、マーケティング、プロダクトチーム間の連携について、具体的なアドバイスとして下記を取り上げていました。

  1. セールスとマーケティングチームは「リードの獲得バトル」をやめること。
  2. 「同じデータ」に基づいて議論をすること。
  3. プロダクトマーケターがいる場合、プロダクトのロードマップや戦略に関するミーティングには全て出席すること。
  4. マーケティングチームは、「新規サインアップ」に、プロダクトチームは「アクティベーション」に注力すべきこと。
  5. アクティベーションしないサインアップは、プロダクトチームにとっては「将来的な有料顧客を生むチャンス」という認識を持つこと。
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PLGにおけるクロスチーム連携のポイント (Maria氏のセッションをもとにPtmind作成)

新常識はPLG + Sales

PLGかSLGか、という対比や優劣では決してなく、むしろそれぞれを掛け合わせ、グラデーションを認める方法こそより実現可能な成功ビジネスモデルなのかもしれません。

とりわけ、無料ユーザーを獲得して、ユーザーの数をスケールさせていきながらも、ビジネスとしての収益性も担保する必要性を考慮すると、やはりPLGだけでは不十分な可能性もあります。

人を介すセールスによる、収益への貢献度が高い主にエンタープライズなどを顧客にする活動も非常に重要になります。

“Keep it simple”

「とにかくシンプルであれ」これはMaria氏とAdam氏が、それぞれ登壇したセッションで共通して何度も繰り返した言葉でした。

複雑さは失敗を招く可能性を増やすことになります。基本に忠実に徹することです。

PLGは、それぞれ元来の役割や目標が異なるクロスファンクショナルなチームで取り組むからこそ、複雑さのない、一本筋の通った明快な指標や方法でコミュニケーションを進めることが成功の鍵となります。

次回は、SLG → PLGを果たしたApolloに注目!

いかがでしたか?PLGの基本的な定義や実現のための組織づくりのポイントを解説しました。ですが、「言うは易し」と感じる部分があった方も多いかもしれません。

次回は、SLGかPLGへモデルの大きな転換と、それによる目覚ましい事業成長を果たしたセールステックのSaaSプロダクト「Apollo」のストーリーをご紹介します。

どうぞお楽しみに!

いかがでしたでしょうか?ぜひシェアをお願いいたします。