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【一気に解説】ABテスト、リダイレクトテスト、多変量テスト、ベイズ統計とは?定義と利用シーンを徹底解説!

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大森 葵

2024年12月05日

この記事は約8分で読めます。

こんにちは!こちらの記事では、よくあるA/Bテスト種類とそれぞれの違いについてご説明します。

Webサイトにおけるテストの重要性

周知の通り、テスト検証はあらゆる分野において成功につながる非常に重要な活動です。Webの世界でも同じ、サイトや顧客に最適な方法を理解するのに役立ちます。

今日は、A/Bテスト、リダイレクトテスト、多変量テストという3つの重要なテスト手法について詳しく見ていきます。これらのテスト手法は、Webサイトを最適化し、ユーザー体験を改善し、コンバージョン率を向上させるのに効果的です。

目次

  1. Webサイトにおけるテストの重要性
  2. シンプルなA/Bテスト
  3. 定義
  4. プロセス
  5. 利用シーン
  6. メリット
  7. リダイレクトテスト
  8. 定義
  9. プロセス
  10. 利用シーン

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シンプルなA/Bテスト

A/Bテストは、最もシンプルで広く使用されているテスト手法の一つです。この方法は、単一の変数の2つのバージョンを比較し、どちらのバージョンがより良いパフォーマンスを発揮するかを判断するものです。

定義

A/Bテストは、Webページやアプリの機能の2つのバージョンを相互に比較します。バージョンAは通常、元のバージョン(コントロールグループ/オリジナルグループ)であり、バージョンBは変更されたバージョン(テストバージョン)です。

目的は、どのバージョンがより良い結果をもたらすかを特定することです。より良い結果とは、たとえば、より高いコンバージョン率やより良いCTAボタンのクリック率などです。

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AとBの2つのバージョン;通常はAがコントロールグループ、Bがテストバージョン

また、ベイズ統計を使用することで、新しいデータが入るたびに仮説の成立確率を継続的に更新し、このプロセスを強化することができます。これにより、リアルタイムで最適化を行い、より適応的な意思決定を行うことができるようになるのです。

ベイズ統計学は、確率を主観的な信念の度合いとして扱う統計学の一分野です。ベイズ統計の強みは、「データが少なくても推測でき、データが多くなるほど正確になる」という性質と、「入ってくる情報を瞬時に反応して、自動的に推測をアップデートする」という学習機能にあります。現在、ベイズ統計の技術は、IT企業以外でも様々な分野で応用されています。

小島寛之(2021年)『完全独習ベイズ統計学入門』ダイヤモンド社

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また、 A/Bテストとベイズ統計を組み合わせることで、リアルタイムの最適化やより詳細な意思決定を提供することができます。その仕組みは以下の通りです。

プロセス

①仮説の作成:一番最初にテストしたい内容と達成したい目標を明確にする必要があります。たとえば、「今すぐ購入」ボタンの色をもっと鮮やかな色にして視認性を向上させることでクリック数が増えるのではないか、などです。

この場合、仮説は「ボタンの視認性が低いため、クリック率が低い」です。テストしたい内容はボタンの視認性とクリック率の因果関係です。色の変更は視認性を向上させる一つの手段となります。

仮説立てはA/Bテストにおいて非常に重要です。仮説を軽視してしまうと、単なるのクリエイティブの検証になり、インサイトはほとんど得られないままで終わってしまいます。(実はたくさんの人がここで挫折してしまっています。)

②バージョンの作成:テストする要素の2つのバージョンを作成します。バージョンA(コントロールグループ)は元のバージョンで、バージョンB(テストバージョン)は変更された新しいバージョンです。

③トラフィックの分配:トラフィックを2つのバージョンに均等に分配します。Ptengine、Optimizely、VWOなどのツールがこのプロセスを自動化できます。

④効果の測定:どのバージョンがより良いパフォーマンスを示すかを判断するために、主要な指標を追跡します。一般的な指標には、クリック率、コンバージョン率、離脱率、遷移率などがあります。ベイズ統計を使用することで、これらの指標は継続的に更新され、リアルタイムなインサイトを得ることができます。

PtengineのA/Bテストはベイズ統計の分析方法を導入しています。テストを配信している間にほぼリアルタイムの結果をレポート画面から確認できます。

⑤分析:テストを十分な期間(統計的に有意であることを保証するため)実行した後、結果を分析します。どのバージョンが期待された目標を満たしているかを特定し、勝者のバージョンを実施します。

利用シーン

A/BテストはWebサイトの改善においてさまざまな要素に利用できます。例えば:

  • LPのキャッチフレーズ:異なる訴求をテストし、どちらがより人々の興味を引くかを検証。
  • CTAボタン:異なるテキスト、位置、色、サイズを試してクリック率の向上を検証。
  • 画像と動画:異なる画像や動画を比較し、どれが視聴者により共鳴するかを発見。
  • フォームと決済フロー:フォームを簡素化したり、決済フローを簡略化して離脱率を改善。

メリット

  • 簡単:設定が容易で、結果の解釈も比較的わかりやすいことが多いです。
  • 低コスト:通常、最小限のリソースで済み、無料または手頃な価格のツールを使用して実施できます。
  • 迅速な実施:変更を迅速にテストし、実施することができます。
  • リアルタイムの洞察:継続的に更新され、迅速な意思決定を助けてくれます。
  • 適応型のトラフィック分配:パフォーマンスに基づいてトラフィックを動的に調整し、リアルタイムで結果を最適化します。
  • 柔軟性の向上:ユーザーの行動や外部要因の変化により適応しやすくなります。

A/Bテストとベイズ統計の組み合わせは、データドリブンな意思決定を行うための強力な手段です。定期的にWebサイトのさまざまな要素をテストおよび最適化することで、ユーザー体験を継続的に改善し、コンバージョン率を向上させることが期待できます。

リダイレクトテスト

リダイレクトテストはA/Bテストに似ていますが、通常は全く異なるサイトやランディングページのバージョンを比較するために使用されます。大きな変更をテストしたい場合には、このテストタイプを選ぶことが効果的です。

定義

リダイレクトテストは、異なるURLにトラフィックを誘導することでWebページやアプリの異なるバージョンを比較します。単一の変化に焦点を当てるA/Bテストとは異なり、全体のデザインやレイアウトの変更を評価します。このため、全体的な改善を図る際によく利用されます。

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プロセス

①仮説立て:テストしたい主な変更を特定します。これは、ログインページの完全な再設計や新しいウェブサイトのレイアウトなども該当します。

②バージョンの作成:2つ以上のURLも完全に異なるページバージョンを開発します。各バージョンは別々のURLにホスティングされます。

③トラフィックの配分:ツールを使用して、ウェブサイトのトラフィックを異なるバージョンに配分します。各訪問者はランダムにいずれかのバージョンに振り分けられることになります。

④パフォーマンスの測定:コンバージョン率、直帰率、平均セッション時間、訪問者ごとの収益などの重要なパフォーマンス指標(KPI)を監視します。

⑤分析:適切な期間テストを実施した後、結果を分析してどのバージョンが最も良いパフォーマンスを示したかを特定します。決定を下す前に、結果に統計的な有意差がついていることを確認しましょう。

利用シーン

リダイレクトテストは以下のような場合に非常に適しています。

  • ログインページ:全く異なるログインページのデザインを比較し、どちらがコンバージョン効果が高いかを確認。
  • ホームページ:異なるホームページのレイアウトやコンテンツをテストして、ユーザーのエンゲージメント向上を検証。
  • 商品ページ:画像、説明、レイアウトを含む異なる商品ページのデザインを評価。
  • 購入フロー:ショッピングカートの放棄率を減少させるために、異なるフローを試す。

メリット

  • 包括的なインサイトの獲得:重大な変更がユーザー行動にどのように影響するかについての全体的な指針を検討する上でのヒントを得ることができます。
  • 柔軟性:大きなデザインやコンテンツの変更をテストすることができます。
  • ユーザー体験の改善:最適な全体デザインを特定して、ユーザーの満足度とエンゲージメントを向上させる手助けをします。
  • 実行可能なデータ:主要なウェブサイトの改善に対する明確で実行可能な洞察を提供します。

リダイレクトテストは、Webサイトの全体的な変更を評価するための効果的な方法です。全く異なるバージョンをテストすることで、大規模な再設計や強化に関して賢明な決定を下し、より良いユーザー体験と高いコンバージョン率を実現できます。

多変量テスト

多変量テストは、複数の変数を同時にテストできる強力な方法です。Webページ上の要素の最適な組み合わせを特定でき、異なる要素がどのように相互作用するかをより深く理解することができるのがメリットです。

定義

多変量テストは、複数の変数を同時に試験し、どの組み合わせが最良の結果を生むかを確認する方法です。1つまたは2つのバージョンをテストするA/Bテストやリダイレクトテストとは異なり、多変量テストは複数の要素とそのバリエーションを並行してテストすることができます。

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プロセス


変数の決定:ページ上でテストする複数の要素を選びます。例えば、見出しテキスト、CTAボタンの色、画像の配置などです。

②バリエーションの作成:各要素に対して異なるバージョンを開発します。3つの要素があり、各要素に2つのバリエーションがある場合、8つの異なる組み合わせ(2x2x2)が生まれます。

③トラフィックの配分:テストツールを使用して、全てのバリエーション組み合わせにトラフィックを分配します。各訪問者は、可能な組み合わせの中から1つに振り分けられます。

④パフォーマンスの測定:コンバージョン率、クリック率、エンゲージメントなど、各組み合わせの主要指標を追跡します。

⑤分析:データを分析して、最も効果的な要素の組み合わせを特定します。ツールは通常、統計的手法を用いて各変更とその相互作用の重要性を判断します。

利用シーン

多変量テストは以下の最適化に適しています:

  • ランディングページ:さまざまな見出し、画像、CTAボタンを同時にテストできます。
  • 商品ページ:異なる説明、画像、価格表示、カートへ追加ボタンを試すことができます。
  • フォーム:異なるフォームフィールド、レイアウト、送信ボタンを評価し、離脱を減らすのに効果的です。
  • メールキャンペーン:件名、内容、画像、CTAリンクの最適化に役立ちます。

メリット

  • 包括的な最適化:複数の要素がどのように相互作用し、どの組み合わせが最も効果的かを深く理解できます。
  • 効率性:連続的なテストではなく、複数の変更を一度にテストすることで時間を節約できます。
  • 詳細な洞察:どの要素がパフォーマンスに最も影響を与えるかをより深く理解できます。
  • コンバージョン率の向上:コンバージョン率を高めるための最も効果的なデザインとコンテンツ戦略を特定するのに役立ちます。

多変量テストは、Webページ上の複数の要素を同時に最適化したいときによく使われるテスト手法です。さまざまな要素の最適な組み合わせを理解することで、より効率的にWebページの最適化を進めることができます。

まとめ

Webサイトの最適化には、戦略的なテスト方法を採用することが重要です。各テスト方法には独自のメリットがあり、異なるシーンでユーザー体験を向上させ、転換率を高めるために活用できます。

  • A/Bテスト:単一の変数を簡単かつ直接的に比較するのに非常に適しています。実施が容易で、明確で実行可能な結果を提供します。
  • リダイレクトテスト:完全に異なるランディングページやサイトレイアウトなど、大きな変更を評価するのに適しています。大規模な再設計の影響を理解するのによく使われます。
  • 多変量テスト:複数の変数を同時にテストでき、ページ上の要素の最適な組み合わせを把握できます。この方法は効率的で包括的です。

これらのテスト方法を活用することで、Webサイト運営の担当者はデータに基づいた意思決定を行い、より良いユーザー体験と高い転換率を実現できます。

定期的にサイトのさまざまな要素をテスト・最適化することで、競争において先行し、顧客の変化するニーズに応えることができます。

うまくいくテストの鍵は、適切な方法を選ぶだけでなく、それを継続的に適用し、結果から学ぶことです。テストを行うだけでなく、得られたデータを分析し、方法を絶えず改善することで、ビジネスの最適な結果を目指しましょう。

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